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真司は歩くペースを心持ち落として、二人の楽しそうな背中に目を向けた。二人は何やら最近の流行について熱く語り合っているようだったが、真司にはなんのことかさっぱり分からなかった。
こうやって少しずつ離れていくのだろうか。
真司は胸の内のわだかまりを吐き出すように口から白い息を吹くと、虚空の一点をぼぅと見つめる。
達也の言ったあの台詞が脳裏に浮かぶ。
『なあ、知ってるか。今日、人類は滅亡するんだぜ』
……いっそのこと、そうなればいいのに。
真司は前を歩く美代奈と達也に聞こえないよう、声を押し殺しながら、ぼそっと独りごちた。
ザザッ、ザー。
『桜木真司』
『黒川美代奈』
『藤井達也』
…………。
『ミーツッケタ』
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