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ノイズ音と突如鳴り響いたその声は、脳内に直接語りかけてくるようだった。直後、頭が割れるように痛み、真司はその場でひざまずく。
「なんかさっき俺らの名前呼ばれなかったか?」
達也が耳に手を当てながら言った。
「うん、しかも私たちのことを見つけたとも言ってた」
美代奈も声の発信源を探るため、首を左右に忙しなく振っている。
二人の様子を窺う限り、どうやらこの場にいる三人に、ほぼ同様の現象が発生しているらしい。
一つは頭の中で自分たちの名前を呼ばれたこと。
もう一つは自分たちの姿が先ほどの声の持ち主に見つかったこと。
だが、真司達はかくれんぼをしているわけでもなければ、ましてや誰かに追われているわけでもないはずなのだ。だとしたら、さっきの声はいったい……。
すると、真司の問いに応えるかのように、眼前に広がる景色が暗転していく。色が全て剥がれ落ちると、それはやがて完全な闇となる。
真っ暗になったかと思うと、今度は上空から何本もの光がスポットライトのように降り注ぎ一ヶ所に収束していく。
次から次へと変わる光景に真司は目をまばたかせた。
そして、壇上のような場所からスポットライトの光を浴びて、意気揚々と現れたその人物は今や国民のほとんどが知る、あのキャラクターだった。
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