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「桜木真司と水瀬レイナの二人だ!」
その言葉を聞けて、身体が一気に脱力する。レイナがすぐに駆け寄ってくる。抱きしめられた。苦しい。
「ありがとう。本当にありがとう」
彼女の目からあつい涙がぼろぼろと零れた。真司はそれらを優しく受け止める。
「へへ……約束はちゃんと守ったぜ。だから俺は嘘つきじゃないだろ?」
しかし、安心したせいか、忘れかけていた痛みがふいによみがえる。
「ぐあっ!!」
「もういいから喋らないで。ねえ。大丈夫?しっかりして!」
意識と視界が混濁する。レイナの腕にさらに力が込められた。
……あれ、おかしいな。レイナの顔が二つに見える。それに声もどんどん遠くなって、なんだか眠く……なって……。
「……やだ。死なないで、真司!」
そうして、真司の意識は包み込まれるようにして彼女の腕の中で落ちた。
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