ティータイム

2/11
661人が本棚に入れています
本棚に追加
/733ページ
深いまどろみの中にいた。 身体がふわふわと浮いて気持ちいい。 「おーい!」 どこからか声が聞こえる。 見ると、美代奈と達也、それに茜までもが、遠くのほうからこちらに向かって手を振っている。 「何してんだよー。早くこっちこいよー」 達也が大きな声で叫ぶ。 「分かった!俺もそっちに……」 真司もそれに応えようとしたとき、景色が一面真っ赤に染まった。いつの間にか三人の姿も消えている。 「どうして、お前だけ生きてるんだ」 背後からざらついた重い声がして、真司は後ろを振り返った。消えたはずの三人の姿がそこにある。顔は下を向いてるため、表情が見えない。 「な、何言ってんだよ。お前らもちゃんと生きてるじゃないか」 真司は三人の顔を覗きこむように、下から見上げた。 「ひぃ!」 短い悲鳴を上げて、腰を抜かす。三人とも顔が白骨化していた。 「さあ、早く私達と一緒に行きましょう、真司」 美代奈の声をした白骨死体が言う。 「い、行くって、どこにだよ?」 隣の白骨死体が答える。 「ふふ、いやですねぇ。真司さん。そんなの決まってるじゃないですか、地獄ですよ。じ・ご・く」 「は、はあ?地獄?」 思わず裏返った声で聞き返すと、三人の白骨死体は真司を取り囲むようにバラけだす。じりじりとにじり寄ってきた。 「い、嫌だ!俺はまだ死にたくない!」 真司は目を瞑って大声で叫ぶ。
/733ページ

最初のコメントを投稿しよう!