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「もうせっかちだなー。ちゃんと説明するからそんな怒るなって。もしかして、そのバカみたいな髪の毛から色と一緒にカルシウムも抜けちゃったの?」
ぴのきおは小嶋の剣幕に怯むどころか、なおも挑発的な態度を示していた。指をさしながら、ハハハと笑っている。
「……殺す」
低い声がして、全員の顔に緊張が走った。小嶋の身体が怒りでわなわなと震えていた。大勢の前でプライドを傷つけられたことが、彼にとっては耐え難い屈辱だったのだろう。
「テメェがどこの誰かなんて関係ねえや。俺にナメた口きくやつは全員殺す。テメェのその自慢の長っ鼻へし折ってやるよ」
小嶋はゆっくりとした足取りでぴのきおに近づいていく。ゆらゆらと体を揺らしながら、しかし目にはありったけの殺意を込めて壇上へとのぼる。
「あっれー。ここまで来ちゃってどうしたの?もしかして、さっきボクが言ったこと怒って――」
言い切るか言い切らないかのうちに、小嶋の腕がぴのきおの胸ぐらを捉えた。腕を徐々に持ち上げ、首をぎりぎりと締め上げていく。
「ぼ、暴力反対だゾー!この手を離せー」
「うるせぇ。その鼻、折ってやるから黙ってろ」
「ヤメろー!誰かタスケテー!こ、こいつに殺されるー!!」
ドス。
「……あ?」
小嶋は胸ぐらを掴んでた手をだらんと垂らす。すると、ぴのきおの顔に冷笑が浮かんだ。
「このボクが下等種族のお前らに殺される?そんなのウソに決まってんじゃん。だって、キミもう……死んでるんだヨ?」
ハハハとまた笑う。
小嶋の背中からは一本の長い棒が突き出ていた。それは人間のちょうど心臓の辺りに位置し、長さはゆうに5メートルは越えている。
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