追悼

6/10
660人が本棚に入れています
本棚に追加
/733ページ
真司が思案していると、泉がこっちに歩いてくるのが見えた。 「やあ、真司くん。今ちょっとだけいいかな?僕の話を聞いてくれない?」 泉は人懐っこい顔を浮かべながら、せがむように手を合わせる。 「ああ、いいよ」 状況が状況なのであまりそういう気分にはなれなかったが、ここでプレイヤーとの信頼を深めておくことは、ゲームの勝利へも繋がる。真司は気安く応じる。 「じゃあ、私は……」 気を遣ってかレイナが身を引こうとするも、真司がそれを引き止めた。 「いや、別に一緒でも構わないだろ。な、泉?」 「うん。というか、むしろこれは水瀬さんにも聞いてほしい話だからさ」 レイナはきょとんとしていたが、やがて真司と話を聞く姿勢を示した。 「ごめんね、すぐ済むから」と一言断って、泉は神妙に話を切り出す。 「真司くん、最近何かあった?」 その話題があまりにも直球すぎて、真司は言葉を出せなかった。
/733ページ

最初のコメントを投稿しよう!