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「真司くん、色々と大変だったみたいだね」
泉が同情の目をこちらに寄越すと、真司は「まあな」と疲れきった声を出す。
あれから何とかレイナの機嫌をとることに成功したものの、一時間という貴重な時間を棒にふってしまった真司は、泉と正人の二人に深々と頭を下げた。
とは言っても話し合い自体はゲームが始まって早々に済んでしまったので、特に謝る必要もなかったのだが、出来るだけ四人の間にしこりを残すような真似はしたくはなかったのだ。
故に問題はそのあとに起きた。
自分にも非があると自覚してのことなのか、レイナが涙目で「ごめんなさい」と謝ってきた。
理由を問うと、自分のせいで真司が二人に頭を下げてるのではないかとやはり責任を感じてしまったらしい。これにはさすがの真司も寿命が縮まる思いだった。
真司はそのあともレイナを宥めることだけに時間を費やし、泣き止んだ頃には『投票タイム』まであと残り5分となっていた。
「けっ、これだからリア充は困るぜ」
正人も聞こえよがしに嫌味を吐いてくる。すると、いいタイミングで部屋の明かりがその範囲を狭めていく。
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