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「は?なんで俺が自分を捕まえるようなことしなきゃならねえんだよ。とにかく、ここにいたら恐喝の現行犯になっちまう。早く逃げよーぜ」
「お、おお。そうだな」
そう言って、男たちはサイレンの音から逃げるようにして去っていった。
「バカなやつ」
二人の姿が、この先の曲がり角で消えたのを確認すると、僕は手に持っていた財布を逆さに振る。
「なーんだ。これっぽっちしか入ってないのか。当てがはずれたなぁ」
そもそもあいつとぶつかったのは、決して僕がよそ見をしてたからではない。最初からこのつもりでぶつかったのだ。しかし、期待に反して中身はたったの1682円。
とりあえず中身だけ抜いて、財布はそこらへんの茂みにでも放り投げておく。
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