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口の中が妙に温かい。散らばった意識が少しずつ俺の中に戻ってくる。
「……!?茜ちゃん!」
俺の視界に彼女の顔がドアップで映し出される。しかも、俺の唇と、彼女の唇が当たっている!?
「目が覚めたんですね!?よかった!このままずっと目を開けてくれないのかと心配しました」
茜は唇を離すと、ほっとしたように吐息を漏らす。横になっていた俺はゆっくりと上半身だけを持ち上げた。
「ここどこ?それになんで俺は生きてんだ。確か、毒で死んだはずじゃ」
残り時間が10秒を切ったとき、俺は死を覚悟したはずだ。それなのに、なぜ俺は彼女と同じ空間にいる?
「あたしが達也さんをここまで運んできたんです。ここは『ゴール』と書かれた部屋の中で、あたし達はあの部屋を脱出したんです」
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