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だが達也から言わせれば、あれは普段の授業をしっかりと受けていれば取るに足らないテストだったと鼻持ちならぬ様子で語っていた。その証拠に達也は学校で出された課題以外、家で一度も勉強をした試しがないと言う。
さすが学年成績順位が五位以内のやつの言うことは違うな、と真司は達也を殴りたい気持ちでいっぱいになった。
「でさ、あの先公授業中に俺しか指さねえんだよ」
「それ達也に気があるんじゃね?」
「冗談でもやめろよ!俺にその気はねえ!」
その後も、達也と冗談を交わしながら帰路に就いていると、背後から誰かの足音が近づいてきた。強い衝撃が真司の脳ミソをぐらんと揺らす。
「なんで先に行っちゃうのよー!」
後ろの人物はここまで走ってきたようで、肩を激しく上下させていた。真司の幼馴染みの黒川美代奈だった。
「うちのクラス少し遅れるから待っててって言ったのに、なんで二人で先に帰っちゃうわけ?信じらんない!」
美代奈は怒りをあらわにしながら、左手に携えていた通学鞄をぶんぶん振り回している。
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