束の間の日常

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あの悪夢とも言える日から三日が経った。 真司と達也、それに美代奈の三人は今、真司の部屋で何をするでもなく、ぼぅと時間を持て余していた。 あの衝撃的な事件のあと、抗いようのない眠気に見舞われた真司は、すぐに目を覚まして愕然とした。目に飛び込んできた風景は、真司たちがゲームに巻き込まれる直前まで歩いていた道路の風景と一致していた。真司はその道路の端っこでポツンとつっ立っていたのである。 その一瞬の出来事に、同じようにして立っていた達也と美代奈も、あれは悪い夢だったのではないかと主張するほどだった。 でもあれは断じて夢などではない。真司は二人に告げた。 そう言い切れる理由の一つとして、まずあげられるのが時間。 真司は三人が拉致された時間が昼過ぎだったと記憶していたが、実際に元の場所に戻ってきた時には既に時計の短針が8を超えていた。 辺りはどこまでも深い闇に包まれていた。 さらに、三人の記憶が細部まで一致していたことも、あれが夢ではないことを裏づける証拠となった。 信じ難い話だが、あの短時間でぴのきおは拉致から解放に至るまでの行程を全てやってのけたことになる。 達也と美代奈もあれからずっと元気がない。 常に二人はどこか上の空で、こちらから話しかけても間延びした返事が返って来るだけだ。 外の景色に目を移しても、そんな真司達の心情を映しているかのように空はどんよりと濁っていた。
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