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無理もない。あんな悲惨な体験をして精神に異常をきたさないほうがどうかしている。
これでは余計に気が滅入ってしまうと懸念した真司は、おもむろに立ちあがるとカーテンを閉めた。
かくいう真司も今日は起きてからどうも頭の調子が悪い。あの日から既に兆候が出始めていたが、日に日に痛みが増していってるようだった。
まあ、自分の体に訳の分からない異物を埋め込まれているんだ。何が起きてもおかしくないか。
真司は原因究明をもっともらしい理由で片付けると、部屋から出ていこうとする。
「どこいくんだ?」
達也が覇気のない声で後ろから呼び止めてきた。
「ちょっと眠気覚ましにコーヒー持ってくるよ。どうせ二人ともろくに寝てないんだろ?」
ぴのきおは次のゲームがいつ始まるかは告知していなかった。だからもし、自分が寝ている間にゲームが始まったらと思うと、気が気でなくて眠れないのだ。
三人の目元には今もくすんだ黒いクマが居座っている。
「俺、砂糖とミルク2つずつないと飲めないから」
「茶菓子も忘れないでね、真司」
…………こいつら。
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