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「くそっ、まだ首が痛むな。ところで今日はもう遅いしみんな泊まってくだろ?」
首を庇いながら真司が尋ねると、達也と美代奈はビシッと親指を立てた。
余談だが美代奈は酔っぱらうのも早いが、酔いが醒めるのも早い。すっかりいつもの図々しい美代奈に戻っている。
「え、あたしもいいんですか?でも親御さんは……」
「あー、気にしなくていいよ。うちの親、仕事で外国行ってるから。それにまだそっちも春休みでしょ?」
「そうなんですか。じゃあ、お言葉に甘えて」
茜もそうは言いながらも、ほっとした表情をしている。きっとこの三日間、一人で寝るのは心細かっただろう。今日はぐっすり眠れるはずだ。
そのあとは軽く部屋を掃除して、各自寝る準備をした。布団が足りないので真司は「他の部屋から持ってくる」と三人に伝えると、茜が手伝い役を買って出てくれた。
「いいよ」と真司は断ったが、茜がどうしてもと言うので無下には出来なかった。
だから「真司さんちょっといいですか?」と茜に呼びかけられたのは、二人で部屋を出てすぐのことだ。
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