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「やっぱり好きなんですね。いいんです。あたし、真司さんの気持ち分かってますから。だから、それまで待ってます」
茜は一方的に自分の想いを告げると、健気に微笑んでみせた。月明かりに照らされた彼女の顔がどこか儚げに見える。
胸の辺りがチクリと痛んだ。
「ささ、あんまり時間かけすぎると怪しまれますからね。早く布団取りに行きましょ!」
茜は一瞬で表情を切り替えると、いつも通りの彼女を装う。本当は芯の強い子なんだなと真司は感心した。
「ん?」
ここで真司はあることに気づく。
なんだろう?一瞬誰かの視線を感じたような……。
「まあ、いいか」
スマホを取り出して、何気なく時間を確認してみる。
23:59から0:00へと表示が変わった。
『ピーンポーンパーンポーン!夜の12時になりました。皆さんこれより楽しい楽しいゲームの時間デス』
束の間の平穏は突如終わりを告げた。
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