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美しくも感情のないその声は反射的に真司を振り向かせる。真司はその声の主を知っていた。
「さあ、早くゲームを始めましょ」
真司の対戦相手。それは前回のゲームを共に勝ち抜いた、あの盲目の少女だった。前と同様、学校指定の紺の制服を身に纏っている。
……ん?対戦相手?
「おい、ぴのきお。対戦相手ってどういうことだ?」
「え、そのまんまの意味だよ。今回の相手はボクじゃない。キミ達プレイヤーさ。前回みたいに協力できなくて残念だったネ」
「はあ?そんなこと俺は聞いてないぞ?じゃあ、他のみんなはいったいどこにいるんだよ!」
「そりゃそうさ。それをキミに話した覚えも教える義理もないからネ。そもそも今のキミに他人を心配する余裕があるのかい?」
ハハハと笑う。
「まあ、そんな気を落とすことないって。要は考えようさ。前回のゲームで生き残ったプレイヤーは半分もいないんだヨ?下手をすれば全滅だってありえたんだ。だけど、今回は絶対に半分は生き残れると思えば良心的じゃない?」
ぴのきおは同意を求めるような笑顔を浮かべるが、このゲームの本質はそこじゃない。むしろ、前よりもタチが悪い。
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