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心臓がばくばくする。
どうにか家まで逃げ延びた夏樹は、鍵をかけた玄関のドアに背中を預けて、涙が出るほどむせ返った。
眼鏡の若者が運よく転んでくれたにしても、足の速さを考えれば油断はできなかった。おかげで夏樹は運動会のあとだというのに、予定外の全力疾走をすることになったのだ。
先程の二人組みは何者で、どうして女の人を襲ったのか。そして夏樹をどうしようとしていたのか。彼らの目的が夏樹にはまるでわからない。ただただ怖くて、夏樹は両手で自分の肩を抱くようにして震え上がった。
(どうしよう。あの女の人、どうなっちゃったんだろう)
考えるといてもたってもいられなくなった。まだ運動会の閉会式が終わっていないのか、家には親も兄も誰もいない。助けを求める相手がいない。あの女性を助けるにはとにかく、自分で警察に電話をかけるしかないだろう。
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