鬼憑き

3/39
前へ
/313ページ
次へ
 泥だらけの体操着を着た少年が、全力で道を駆けていく。  五月後半の運動会シーズン、町にある小学校は、今日一斉にその流れに乗っていた。かくいう彼――一条(いちじょう)夏樹(なつき)もほんの少し前まではその場にいたのだ。だが閉会式を待たずして、夏樹は自分のリュックを背負い、抜け出してきた。  その先で出会った不思議な女性と話をしていたら、突然刃物を持った男が乱入してきたのだ。怖すぎて、夏樹はいま全力で逃げていた。 「なんだよ……なんなんだよ!」  叫びながら、夏樹は走った。
/313ページ

最初のコメントを投稿しよう!

396人が本棚に入れています
本棚に追加