第1章

2/28
前へ
/28ページ
次へ
大統領は憂鬱そうな顔を、窓枠に向けて椅子から立ち、しばらく会議室を歩く。外は、春先に珍しい嵐。稲光がドンドンと地面を打ち付ける。一時停電を起こす大統領官邸。暗闇に人の気配がする。雷がなる度に、その黒い影を照らす。 元康:出てこいよぉ。国際ギャング。ミスターXさんよ。 X :出てくるも何も、私はいつもあなたの前にいる。(不快な声を発する) 元康:何言ってんだ。てめえ、楽しいコメディを辛気臭い茶番にするなよ。 X :私はあなだの影、精神の裏。お見逸れした大統領。私をしっかり調べてスパイと断言するのだから。賢者は愚者に見える。能ある鷹は爪を隠す、日本ではこういうんでしたね。私はあなたのファンです。(ボイスチェンジャーが狂ったような、不快音波) 元康:ストーカーの間違いだろ。スパイはCIBだろ。てめえはファンドのフィクサーだろ?こないだ南米の石油王殺ったな?通貨危機も、株価吊り上げも、お前らの仕掛けだろ。 X :ふふふ…エクセレント。(急に甘く、惑わす妖気を放つ) 元康:可笑しいか、当たりすぎて。小さな独裁者潰してないで、でかい的狙え。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加