運命の夜

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サラダや揚げ物をつまみながら、しばらく他愛もない話をした。 「なんだろう、この衣。美味いな」 「おかきみたいな……ごまも付いてるのかな」 えび揚げ団子をかじりながら箸を目の前まで上げ、黒澤くんが興味深そうに見つめる。 「今度真似しよう」 「えっ! 黒澤くん料理するの……!?」 「うん、週2日は当番だから」 ほとんど料理が出来ないわたしなんかよりよっぽど女子力高い……どれだけ完璧なの……と、そこまで考えて気付いた。 そうか、お母さんいないんだった……。 黒澤くんの背負っている、色々な物を思った。 『色々持ってる荷物を、分けられる人が居てくれたら良いなって、私は勝手に思ってるんですけど』 更ちゃんの言葉が頭の中に浮かんだ。 『……先輩なら、寂しさをわかってあげられるんじゃないですか?』 そうなのだろうか。 わからなかったけれど、そうであれば良いな、と思った。
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