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「……やべー……嬉しい」
その照れた顔と仕草がとても可愛くて、胸が締め付けられる。
わたしはそんな黒澤くんの反応が嬉しくて、この瞬間を噛み締めた。
そして、お互いに照れ合っている状況を思うと、更に顔が熱くなってしまう。
余程暑かったのか、黒澤くんが前髪をかき上げた。
あんまり色っぽくて、しばし見惚れる。
こんな格好良い人が、わたしの彼氏……? まさか!
今更ながら、その事実を頭の中で反芻し、動揺してしまった。
じっと視線を送っていたら、黒澤くんが気付いて目が合ってしまった。
吸い込まれるように、目が離せない。
バクバク鳴っていた心臓は、やや落ち着いたドキドキに変化してゆく。
「……俺の家の話なんか楽しくないけど」
黒澤くんの瞳が真っ直ぐにわたしを見ている。
「……知りたいの。役に立てるかはわからないけど、黒澤くんのこと……」
抱き締めたくなる、と浮かんだ言葉は、照れくさくて続けられず、視線を落とし口元を手で覆った。
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