同期の彼と思い掛けない夜

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わたしは精神的に弱い。自覚している。 こんなことくらい、何でもないじゃないか。今までにだって同じような出来事はあったはず。 些細なことで、心を囚われてしまい、なかなか戻って来れなくなる。 それでも、周囲の人達には悟られまいと、その後は出来る限り気丈に振舞った。 鐘が鳴り、長い1日が終わった。 今日は花の金曜日、特に予定があるわけではないけれど、せっかく定時で上がれることだし、暗い顔をしていたらもったいないな。 そう感じているのに、心にはもやがかかって晴れないままで、小さく溜息を吐いた。 「よっし、飲み行くか!」 真後ろから明るい声が響き、びっくりして即座に振り向く。 黒澤くんが微笑みを携えていた。 今のわたしの様子を見ていて、声を掛けてくれたのであろうことは、疑う余地もなかった。 「えっと……うん」 恥ずかしい……結局悟られて、気を遣わせて、わたしはなんて未熟者なんだろう。 だけど、その厚意を無下にしては更に失礼だと思い、甘えることにした。 周囲の女子社員の視線が気になったが、特にやましいことはないのだし、大丈夫だろうと判断した。
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