いつかやって来るその時

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黒澤くんを、傷付けてしまった。 あんなに力になりたいと、強く考えたのに、真逆の結果。 力になるどころか、迷惑を掛けただけで、こんなことならもっと始めに突き放した方がましだった。 それならお互い、傷が浅くて済んだ。 大切なご家族の話もしてくれたのに……きっと、わたしに心を開いたから、話してくれたんだ。 そんな黒澤くんを裏切るような事態となってしまった。 わたしは、何て酷い女なんだろう。 せっかくの土曜日、部屋にこもってだらだらしていただけで、もう陽が傾き始めてしまった。 午後4時。外は寒そうだけれど、カーテンを開けると柔らかな陽射しが差し込む。 何もする気が起きない。今日は、好きな漫画も小説も読みたくないし、好きな雑貨屋へ買い物にも出掛けたくない。 やっぱり、こうなる。恋愛に振り回されて、自分を制御出来なくなる。 今日も1日をやり過ごす。 明日はどうなるんだろうか。明後日は……考え出すと、恐怖が頭をもたげてくる。 部屋の外からドアをノックする音が響いた。 扉が開き、お母さんが顔を出す。 普段なら何かをしている最中であったりして「後で」などと答えるものだが、特に拒否する理由もなかったので、大人しくリビングへ降りた。 それに今日は多分、お母さんはわたしを気遣ってくれているに違いない。 キャラメルプリンは、わたしの一番好きなスイーツだから。 丁寧に紅茶まで淹れてくれた。 紅茶を少し啜った後、プリンをすくって口へ運んだ。 「……美味しい」 「此処のキャラメルプリン、いつ食べても美味しいわよねー」 お母さんがにっこりと笑った。 不覚にも、僅かに目頭が熱くなってしまった。
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