いつかやって来るその時

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更ちゃんはサングリアの赤を、わたしは発泡性の林檎酒であるシードルがメニューにあったので、注文した。 「おつかれー」 グラスを合わせて、喉を潤す。 「サングリア大好きなんです! ワインはほとんど飲めないけど、これはフルーティで」 「スペインバルありだね、良かった」 わたしは笑いながら、突き出しのスパイシーなポテトサラダを口に運んだ。 やっぱり人と話をした方が良い。無理にでも笑顔を作ると、自分を客観的に見ることが出来る。 「先輩に誘って貰えたの、すごく嬉しかったんですけど……」 おもむろに、更ちゃんが切り出す。 「もしかして、何かありました……?」 「……やっぱ、わかっちゃうよね」 わたしは眉を八の字に下げながら微笑を浮かべた。 そして少し気恥ずかしかったけれど、事の顛末を説明した。 「な……何やってんですか? 先輩」 更ちゃんの最初の感想は、わなわなと震え出しそうな呆れ声だった。 「何でそこで泣いちゃうかなぁー!? ふたり明らか両思いじゃないですか! 何故に離れる必要が!?」 「いや……それは、黒澤くんを傷付けたわたしが悪い……」 「今からでも間に合いますよ! ちゃんと話し合った方が良いです!」 「でも……わたし、黒澤くんに笑顔で壁作られてるし……」 自分で話しながら泣きそうになっているわたしに感づいた更ちゃんが、気まずそうに黙った。 わたしは振り返りながら、少しずつ言葉に出す。
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