光の球体

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光の球体

 体育館は光の爆発で窓ガラスは崩壊し、屋根も穴が空いて天井と壁から火が燃え上がり、天空からの爆撃を受けた惨状だった。  床に倒れたブカツとボーダーは全滅。  光の球体が織りなすハーモニー。  世紀末への一投擲。破滅か、再生か?  想作は光の玉が体育館に落ちて、ジョーカーが完全にパージョンアップしたと理解したが、幸運にも自分達にも恩恵があった。 「あれが真のジョーカーの姿だ」 「どう言うこと?」 「電磁波を生み出す者に太陽は力を与える。過去の法則では十二の光の球体が都市に落下した」 「過去って?」 「ソドムとゴモラ」  おっさんは精悍な顔付きに変貌し、変態度もアップして更に嫌らしい目付きになり、強力な磁場がおっさんの体に充満し、広げた手を近づけると以前より強力な電磁波が発生した。  視覚化した炎の光りを放射して、おっさんは目を輝かせて『選ばれた』と自覚した。 「太陽の神がこの力を与え、淫らな者を殺戮せよと命じている」  無意味な者の抹消。  汚れた世界を浄化せよ。  そんな『神の啓示』がおっさんの魂に聴こえ、自分が一番汚れているくせに、その使命を授かったと信じ込む。 「いや、お前が一番淫らなんですけど」  美鈴が自分のパンツを穿いたジョーカーを見て虚しく呟くが、想作は美鈴の顔に現れた図形を見て微笑む。自分たちも光の球体の輝きを浴びて、新たな力を得ていたのである。
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