プロローグ・挟まれた死ぬ?

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「それで鳩って、意味わかんないですけど」  美鈴が声を張り上げてギブアップですと肩をすくめ、想作は慎重に鳩の足に付いているアルミのパイプを取り外してメモの紙片を開く。 『挟まれたら死ぬ。アザを見ろ』  小さな文字でそう書いてあり、想作はそれを美鈴に渡して見せてから、床に落ちていたノートを拾ってカッターで紙を小さく切って返事を書いた。 『OK。グッドラック』  それを足に付け、鳩を空へ飛び立たせると伝書鳩は空へ羽ばたいて帰って行き、遥か向こうに聳える高層ビル群の大空には異様な雲が渦巻き、赤と青い稲妻が幾つも光っている。 「鈴の痣はどこ?」 「あの〜、馴れ馴れしくスズって呼び捨てにしないでって、何度も注意してるよね」  しかし想作は美鈴の前に近寄り、前髪を手で掻き上げて調べ、おでこの真ん中辺りに白丸の痣があるのを確認した。 「白丸の痣がおでこにある。俺の顔にも痣ができてないか?」 「さっきから気になってたんだけど、白丸の痣がこっちの頬にあるよ」  美鈴がその頬を指で差すと、想作が顔を更に近付けので恥ずかしそうに押し返す。 「ちょっとこの距離、キスの射程距離だよ」 「いいだろキスくらい。死ぬかも知れないんだぞ」 「最低。さっき、死なないって言ったくせに」
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