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想作はとにかく鬱陶しかった。話題は超常現象やオカルト。星座とか血液型、生年月日は産まれた時間まで性格に教えてくれと聞いてくる始末。
「そんなの知るわけないじゃん」
「いや双子座と水瓶座で、血液型はO型とA型。その相性は抜群だ。それ以外にも顔の造形、目の輝き。それらすべて俺たちが最高のカップルだと証明している」
「いや、なに言ってんの?想くん、やっば頭おかしいから付き合うのやだ」
美鈴は想作の不思議めいた発言に辟易していた。それにクラスの友だちからも『美鈴も変わり者だと思われるよ』とアドバイスされた。
そして皆既日食の見学ショーが終わって、美鈴が教室に戻り、遅れて教室に入って来た友だちが速報ニュースみたいに皆んなに話して騒ぎになった。
「救急車、呼んだらしいよ」
「うそー。なんで?」
その後教室に入って来た先生にお喋りを注意されて授業が始まったが、救急車のサイレンが聴こえて林茂が運ばれた事が事実なった。
[脳溢血らしいよ]
机の下から次々と生徒にメモが回って、ひそひそ話が聴こえた。先生も気になって、一旦廊下に出てB組の先生と立ち話をしている。
「貧血じゃないの?」
「まさか、死んだりして」
「やだー。怖い。でも最後に憧れの日食見れて良かったかも」
ちょっと笑いながら話している生徒がいて美鈴は嫌だったが、自分も皆んなに合わせて微笑んでいるのに気付き後ろめたくなる。
『ごめん、モバヤシ』
その時、窓側の席で想作の声がした。
「心臓だろうな」
「はっ?」
想作の呟きに、ニュース元の噂好きの女子生徒が指を差して小馬鹿にして笑う。
「でたー。想くんのフシギツイート」
しかし先生が教室に戻って授業が再開されてすぐに、想作を笑った女子生徒が林茂と同じように突然バタッと横に倒れた。
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