ジョーカーとの対決

2/3
82人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
『プールに(おび)き出す』  想作が美鈴の耳元で囁き、こそばゆいのと電磁波の振動で想作の顔を遠ざけたが、太陽の護符の使い方を説明される。 「離れるとシールドが無効になる。割符を近付けて、太陽の護符をオンにしろ」 「えっ?」  確かに想作に顔を寄せると、ソロモンの図形が微かに輝いて二人の上半身を包み込んでいるように見えた。 「こうすれば白丸の電極に、電磁波が流れるのを防げる」 「挟まれても死なないのね?スゴイ」  想作が美鈴の疑問に耳元で答えて納得し、美鈴も積極的に顔を寄せ、腕を組んで体育館の裏側にあるプールへ走ると、ジョーカーのおっさんが追いかけて来る。  一週間前に屋外プールの掃除をして、水を張ってあるのは知っていたが、そこへ誘い込んで倒せるのかと美鈴は不安になった。 「でも防御はできても、攻撃はできるの?」  ジョーカーはオールマイティであり、皮膚に白と黒の刻印を混在させているから、電磁波が通じないのではと推理する。 「さすが鈴。順流になるから、俺と鈴で挟んでも体外に放射されてダメージは軽い」 「ちょっと〜。平然と言わないでよね」  美鈴は余裕で背後から駆け寄るジョーカーのおっさんを振り返り、無敵なんじゃないかと悔しがった。  しかも変態と小馬鹿にしていたが、神の啓示を受けたか言って顔付きも精悍になり、体型も筋肉で一回り大きくなって、背中の稲妻の刻印が輝き最強の戦士に生まれ変わって見えた。 「勝てる?」 「もちろん」  唯一の救いは嬉しそうに美鈴に顔を寄せて走る想作の知識と脳天気な明るさだけであった。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!