姉と天使の一夜物語

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天のほうへと進んでいると、突然、視界が変わった。 白くなったので、雲の中にでも入ったのだろうか。 ただ、とても静かだ。 こんな静かな場所で叫ぶのは、なんだか怖かった。 小さめの声で、お姉ちゃんを呼んでみる。 「美雪お姉ちゃーん」 「美咲!」 と、そのお姉ちゃんの声が聞こえた。 「お姉ちゃん!」 声の主は、私よりも少し上にいた。 「天使になりたいなんて言うから、ひょっとしたらとは思ってたけど、こんなところまで来るとはね」 呆れたような声で言うお姉ちゃん。 お姉ちゃんが死んだのは、私のせいだ。 嫌われたかもしれない。 でも、伝えなきゃ。 謝らなきゃ…… 「お姉ちゃん、ごめんなさい。私、何も考えてなかった。ミーが飛び出して、ミーを捕まえようとして、私、つい……」 溢れてくる涙。 もう会えないお姉ちゃん。 たぶん、今日が最後だから。 私はお姉ちゃんに抱きついて泣いた。 「そんなこと」 お姉ちゃんは、泣くこともなく、落ち着いた声で言う。 「今さら言ったって、仕方ないじゃない。泣いたからって、何も変わらないでしょ?」 私は、それでも涙が止まらない。 「お姉ちゃん、本当にごめんなさい。助けてくれてありがとう」 伝えたいことだけは、しっかり伝える。 でも。
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