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僕の通う鷹月高校では、文化祭は十月末に二日間に渡って行われる。
各文化部の晴れ舞台。そして、クラスが一丸となって、出し物の準備をして結束を図る、年に一度のお祭り。今はその準備に学内全体が動いている。
僕はそんな文化祭が楽しみではなかった。
クラスの出し物っていっても、せいぜいコスプレ喫茶やお化け屋敷、寸劇等ばかりで、大して面白いことなんてなにもないし……そして、例に漏れず、うちのクラスの文化祭の出し物も、たった今、喫茶店に決まったところだ。テーマは高級・お洒落カフェ……
高校の出し物で、どう高級感を出したらいいんだよ。学校の机とイスしかないのに。お洒落とか……
「それで……テーマまでは決まりましたが、具体的に何をするかということなんですが、アイデアを皆で出していきたいと思います。黒板に書いていくので、手を上げてどんどん発言して下さい」
学祭委員の……誰だっけか、とにかく女子生徒が教壇にたち、場を仕切る。その後ろでチョークを持っているのは、あの加藤さんだ。彼女も学祭委員だったらしい。
コスプレ・メイド・男装・女装・水着・アニマル・巫女……次々とキーワードが発言されていく。加藤さんがチョークを急いで走らせる……妄想言ってるだけだろこれ。
「えー……と。これ衣装のことばかりだし……水着って……こんな季節に風邪引くわよ……。高級・お洒落ってテーマでもっと具体的な案がある人いませんか?」
「お洒落なら、ラテアートとかどう?」
どこかの女子がそう言った。あぁ、なるほど。
「高級な内装とか難しいけど、BGMでジャズ流すとか。」
それも……まぁそんなとこだな。
「藤堂くんはどう?」
一言も発していない藤堂が当てられた。かわいそうに。
「俺はなんでも文句ない」
藤堂は腕組みをして即答する。それだけか!
「それじゃぁ……えっと、……中澤くんは?」
司会の女子は、藤堂の自信満々な回答にたじろいだが、クラス内を見渡すとすぐに次のターゲットを見つけた。僕だ……それに、多分彼女、僕の名前がすぐに出てこなかった様子だった。まぁいいけど。
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