第1章 妹と美奈

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「あ……えーっと……それじゃぁ……ラテアートも3Dラテアートが流行りだし、ジャズも、もしだれかピアノ弾けるなら、電子ピアノとか持ち込んで生演奏付きにしたらいいかも」  加藤さんが僕の意見を黒板に書き出す。 「はい、誰かピアノ経験者いますか?」  手が上がらない……まぁそうだろうな。こんな所で手を挙げるやつなんて…… 「……ってすぐには手上がらないよね。何人か経験者居ると思うから個人的に後でお願いしに回ります。該当者が居たら、やるってことでいいですか、3Dラテアートって簡単に作れるものなの?」  この司会女子、なかなかの仕切り上手だな。 「牛乳とIHコンロとハンドミキサーがあればたぶんなんとかなると思う……」  加藤さんが司会女子に伝える。 「そう……なの?可愛い3Dラテアートならお洒落な感じね。高級ってところはどうしましょうか?」 「模擬店って紙コップや紙皿のイメージがあるから、本物のカップとお皿にこだわるとか……」 「それいいかも。たくさんのカップが飾られている喫茶店とか見たことある。3Dラテアートにもぴったりじゃない?」  クラス内で声が上がる。 「食器の調達方法が問題よね。買うなんて予算はないし、借りるにしてもあまり高級だと管理に困るし……」 …………それだけの食器を持ってるとか言う人はまず居ないだろう。 「うー……ん。みんなで一つずつ持ってくるのはどうです?」  どこかの女子が答える。 「ただの寄せ集めのカップじゃ高級感でないぞ」  藤堂が、余計なことを言った。文句ないって今言ってただろ! 「中澤君、なにかいい案ないかな?」  えー!さっきも当てられたじゃん。あれだけじゃ不満ですか…… 「近所の喫茶店にみんなで手分けして訪問して、できるだけ高級そうに見えるものを借りてくるとか……」 「そうですね。それぐらいしか今は思いつかないですね……。最悪欠けたり割れたりする事を前提に、貸してもらえないか交渉する……できるだけ高級に見える物を。それが出来なければ各自が持ってきたカップを使いましょう。後日割り振りを決めますから、知っている喫茶店や交渉できる心当たりがある人は後で教えてください。今日はこのあたりで終わりにします」  これで今日の予定全てが終わった。クラスメートがばらばらっと散っていく。
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