3

6/8
前へ
/239ページ
次へ
 だけど俺は気づいていないフリをして、五月の生徒会新メンバー発足の時のスローガンを守り続けた。 『前人未到!新しいことを始めよう!』  俺が決めたんじゃない。俺以外のメンバーが決めたのだ。なんだか随分な盛り上がりようだった。  内申のために生徒会に入った俺は、初めこそ冷めた目でそれを見ていた。  だけどすぐに生徒会活動に夢中になった俺は、みんなと温度差を埋めるのにそれほど時間はかからなかった。  ずっとみんなと一緒に生徒会の仕事を楽しんでいるつもりだったのだ。  それなのに、どうしてあんなことになってしまったのだろう。  その時、ほんの些細なことで人は変わってしまうということを俺は知ることになる。  俺が学園祭の新企画を議題に上げたことがきっかけで、生徒会の同学年のヤツから、つまはじきにされるようになったのだ。  俺にはそこまでされる理由が全くわからなかった。
/239ページ

最初のコメントを投稿しよう!

672人が本棚に入れています
本棚に追加