第三章 脱獄キックオフ

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 ギシギシとベッドの脚がきしむ音が薄暗い部屋にもれる。  小さな身体の上で、白い裸身がなまめかしく揺れている。乳房にうっすらとにじむ汗、赤い唇からこぼれる吐息、尻の狭間から響く粘ついた水音。 「っ……」  押し殺した叫びをあげ、女の背中が反り返る。両腕で自らを抱き締め、小刻みに身体を震わせる。貞淑を美徳するこの国では、絶頂(アクメ)は控えに伝えるのが作法だった。  裸の上半身が少年の胸に覆い被さる。濡れた肌が重なり、ハァハァという息遣いが続く。ひんやりした汗が、身体の熱を冷ましていく。   目だけを動かして、少年――ナナセアキラの顔を仰ぎ見る。間接照明の淡い光が美しい輪郭を浮かび上がらせる。
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