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嘘をついているのか、真実を語っているのか。
脱獄計画の存在を知りながら見逃しているのは、監房を抜ける方法を知りたいからだ。首謀者の沢村を拷問にかける手もあったが、親善試合を前にエースに怪我をさせるわけにはいかない。
三十人近い囚人をどうやって逃がす？ 看守の追っ手をどうかわす？ 万が一、施設の外に出られたとして、どうやって国外へ？
誰よりもこの刑務所の堅牢な警備システムを知り尽くす彼女の興味は、そこに集中していた。林の後釜として内通者に仕立てた七瀬晶によれば、知るのは沢村一人。密告を警戒し、最小限の情報しか与えられていないという。
七瀬晶の目はぼんやりを虚空を見つめている。遠く離れた故郷を思っているのか、瞳からは何も読みとれない。
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