第四章 薩摩ルーレット

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「監督、お願いがありますっ」  床に尻もちをついたまま、崇人が右腕を上げた。 「は~い、水崎君、何ですかぁ?」  かゆいのか、垢でもとっているのか、右耳に指を突っ込みながら、超訳がのんびりした声を返す。 「PK(ペナルティキック)戦でやらせてくださいっ」  耳穴をほじる手が止まる。 「……どういう意味かな?」 「PK戦と同じ五人で――五人で円陣を組ませてくださいっ」  じっと相手の目を見て訴える。緊張で首の筋肉が引きつる。気を抜くな。ここからが勝負だ。こちらの意図を見抜かれずに、敵を罠に誘い込む。  一瞬きょとんとした超訳だが、しばらくして意味を理解し、ふふっと笑った。 「なるほど……五人で円陣か。確率は二十二分の一から五分の一。昔はPK戦のことをサドンデス、突然訪れる死と言っていたらしいが、まさにその名にふさわしいゲームになるわけだね」
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