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「それは、あげられないなぁ?大丈夫だよ。無理に知ろうとは思わない。それに、紅ちゃんは必ず自分から教えてくれるって約束してくれたから。僕は信じて待っているよ」
何でも知っている情報屋の千歳が知らない情報が、黒鷹にはある。千歳はずっとそれが欲しくてありとあらゆる方法を使って知ろうとしているんだそうだ。
それは情報屋として、かなりの高い価値がつく情報を仕入れたいから。だがそれ以上に、千歳には欲がある。世の中のありとあらゆることの全てを知りたいという、変態じみた欲望が。
結果はさっきの発言通りだが。どうやっても知られない秘密とは、より一層知りたくなるものだ。
「あらぁ、よそ者なのに随分とお優しいのね?惚れちゃったの?」
「なんで皆して色恋話になるんだよ。この子は良い意味でも悪い意味でもまっすぐだから――どうした?」
ヤレヤレとため息をついて「そんなんじゃないよ」と千歳にヒラヒラ手を振った黒鷹の顔つきが、変わった。
千歳の意識が別の場所に向けられ集中している。真剣な顔で目を閉じた彼女は口元だけで何か呟いているようだが、声は発していないので何と言っているのかまでは聞き取れない。
その時、小紅は何か細長いものが部屋に入ってきたのを見た。とても素早く、それは千歳の肩にのぼって留まった。
「……そうか。クロポン、また何か桜鬼に無理させちゃったんでしょ?急に胸を押さえて倒れたわよ。今は部屋で休ませているわ」
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