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「倒れ……っ、桜鬼さんが!?」
「ちょっと様子を見てくるよ。紅ちゃんと千歳はここでくつろいでていいから。大丈夫、大したことはないからそんな不安そうな顔しないで?」
黒鷹は1度小紅をジッと見つめると、少し首を振ってから立ち上がり部屋を出て行ってしまった。
去り際ににっこり微笑んではいたが、急に胸を押さえて倒れることが時々あると言っていた。発作?桜鬼は何か肺か心臓の病気でも患っているのか?
黒鷹も千歳も落ち着いているし、特に慌ただしくバタバタ走るような音も聞こえてはこない。
本当に、時々そうなる。だから皆慣れている。対処の仕方を知っている。いや、だからって大丈夫ということはないだろう。
やっと小姓らしく黒鷹のそばにいられたのに、また離れてしまった。彼は立ち上がる前に小紅を見つめていたが、何を思ってのことか。
「…………や、やっぱり心配です。私も桜鬼さんの元に――」
「やめて、今あなたが行ったら悪化するだけよ。彼のことを思ってくれるならここにいなさい。そんなことより、ちぃはあなたに興味があるの」
桜鬼には大変世話になっている。少しでも何か助けになれることがあればと思って立ち上がろうとして、千歳に手首をつかまれた。
真顔で、首を横に振る。当然彼女は桜鬼が倒れた原因を知っているわけで。そこそこの高値がついているその情報を買う金を小紅は持っていない。
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