いざ、鷹の巣へ

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「得体の知れねぇ女なんか入れてくんなよ!べ、別に、寝首をかかれそうで怖いとかじゃねーけどよ!俺様は最強だからなぁっ!」  変な言い訳を付け加えたのは、青年に「高遠」と呼ばれた男。青紫色の髪は寝起きから一切触れていないのかボサボサで、小紅を睨み付ける赤く燃える瞳は獲物を狩る獣のように鋭い。  胸元を大きく開けた赤い着物は裾が膝の上まで捲り上げられ、とても動きやすそうだ。きっと普段からよく動いて、走って、吠えまくっているのだろう。そう、狂犬のように。  高遠の発言に他の4人もそれなりに頷き、青年は腰に手を当てて青い空を仰いだ。 「先代の遺言なんだよ。いつかこの子が訪ねてくるから、その時は必ず拒まずに招き入れること。力になってやりなさいってさ。言われてたの、今思い出した」  もちろん全員、小紅でさえ初耳だ。ポンと手を打って「最近忘れっぽくてね」と笑う青年に呆れ果てる面々。そしてやっぱり。 「し、し、し、信じられるか、ドアホッ!!」  小紅に食らいつく勢いで吠えた狂犬は、首に巻いていた手拭いをバシンッ!と地面に叩きつけて去って行ってしまった。  修復の続きをする気はないらしく、そのまま門を通り過ぎて外へとあっという間に見えなくなった。町へ行ったか。八つ当たりで騒ぎを起こさなければいいが、無理だろうな。  イライラを爆発させた彼が残した手拭いを拾い上げ、土を叩き落とすのは狂犬の隣にいた背が高い青年。
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