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縁談を断った後も、その女性講師はリョウに対する態度を変えなかった。
一講師として、変わらず生徒達のために誠心誠意働いていた。
リョウよりも5歳若いその女性は、数年前に母親を病気で亡くし父親と二人暮らしだった。伯父が肩入れしたのも旧友が娘を心配していると聞いたせいだろう。
リョウの彼女を見る目が変わっていくのに、ナオはいつから気づいていたのだろう。
次第に2人が一緒にコンサートやライブに行く回数が減っていった。
けれどもリョウはそれを、2人が歳を重ねたことや職場での責任が重くなり忙しさが増したせいだと考えることにした。
相変わらず、リョウはナオの部屋に泊まることが多かった。
体の関係もずっと続いていた。
ナオと居るとリョウは他の女性のことを考えたりしなかった。
伯父にはやんわりと断ってあって、それ以来静かに月日が流れていたから、
表面的には何事もなく関係は続いていた。
そしてある日、ナオが『母親と妹が来る』と告げた。
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