愛してた

リョウ

表情や行動は落ち着きのあるリョウも、実はエネルギーをぶちまけるような音楽を好み酒を愛した。

ほぼ同期ながら歳上で有能なナオに対する憧れは、１年も経たず恋愛感情に変わり、ナオも応えてくれた。

学生時代と変わらぬ安アパートに住んでいたリョウがナオの部屋に入り浸り半同棲生活になると、2人の交際は周囲の知るところとなっが、
ナオは困る様子も見せなかった。

２人の付き合い方は仕事に支障をきたすものでは決してなかったから、周囲の目も概ね好意的だった。

馴染みの飲み屋に顔見知りもでき、2人に職場以外の交友関係が広がっていった。

勝気なナオと意見を違えることがあっても、リョウはナオの見解も理解できたしナオが感情的になり過ぎる事も滅多になかったから、２人の関係は長く続いた。

気づくとナオは30歳になっていた。

今でこそ30で独身の女性は普通に居るが、あの頃は結婚する気のある女性は焦る歳だった。

そしてその親達はもっと。