オレの可愛い子うさぎちゃん

だから、徹底的に琴恵を追い込んで、オレに縋るしかないようにしているところだ。

現在、琴恵に優しくしてる人間はオレひとり。
周りに少しでも琴恵に優しくする人間を見つけると、あることないこと吹き込んで、琴恵を嫌うように仕向ける。

おかげで琴恵もずいぶん追い詰められて、正常な判断ができなくなってきてる。

もう少し、あともう少しで完全に琴恵がオレの手に入る。
そうなればもう、一生部屋に閉じこめて、オレなしでは生活できないようにしてやる。

もうすぐこちらでの単身赴任生活も終わる。
最後の仕上げをして、琴恵は妻と娘の暮らす家の近くに住まわせよう。

なに、問題はない。
そのころには一歩も外に出ることどころか、オレ以外の人間と話すこともできなくなっているはずだから。

おやすみ、オレの琴恵。
おまえはなにも、知らなくていいから。
ただ、オレの腕の中で、子うさぎのように震えていればいい。

【終】