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「……ずっと、とまら、なく、て」
鼻声で、怯えたように琴恵が話す。
「ああ。
電源切ってしまえばいいんだ」
「……電源?」
不思議そうに首を傾けた琴恵に携帯の電源を切って渡す。
静かになった携帯に、琴恵はほっと安堵の息を漏らした。
「こんなことも気がつかなかったのか?」
「……ごめん、な、さい」
膝の上に琴恵を抱き抱えると、ぎゅーっと抱きついてきた。
まあ、パニックになってる琴恵に、そんなことに気付ってほうが無理か。
「今日、何時まで残業してたんだ?
そんなに仕事たまってる割に、途中、二時間くらい姿見せないし。
戻ってきたかと思ったら、髪、濡れてるし」
抱き付いていた琴恵の身体がびくりと震える。
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