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「……なんでも、ない、よ。
私、仕事、遅い、だけ、だから。
途中、いなかった、の、水道、こわ、して、水、浴び、て。
着替え、とか、買いに、いってた、だけ、だから」
「そう」
ますますぎゅーっと抱きついてきた琴恵の髪を撫でる。
ぷるぷると子うさぎのように小さく震えてる琴恵が、愛おしくて仕方ない。
「……なあ。
仕事、辞めないか。
オレが養ってやるから」
「……でも」
「考えておいて」
小さく琴恵がすすり泣く声が聞こえるが、気づかないふりをした。
ゆっくりと髪を撫で続けると、琴恵は少しずつ、眠りに落ちていく。
「眠っていいよ。
今日は一緒にいるから」
「……うん」
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