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その島には言い伝えがあった。
千年も昔、人の姿をした鬼の種がいたという。
その島は元来、鬼たちの棲処(すみか)であった。
鬼たちは島内だけに暮らし、本土に災禍を引き起こすことはなかった。
だが、ある時を境に島の事情が変わった。
あの島には金塊が眠っている。
馬鹿な占術師の言葉に踊らされた人間たちが、次から次へと島に押し寄せた。
実際、島のほとんどを埋め尽くす森の中に金が見つかると、人間たちがまた増えた。
人間たちは鬼を敵視し、両者の間に闘いが生じた。
鬼たちはただ、自分たちが暮らしていた島を侵されたくなかっただけだ。
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