イントロダクション

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  ・・・「それ」は近づいていた。 どこからやってきたのか、 何かの意志によって向かってくるのか、 地上に住む人間たちには、一切わからぬ事なれど、 「音」の伝わらぬその暗黒の海を、 かつて人間たちによって創り上げられた、あらゆる移動物体よりも速く、 人知れず・・・そして着実に彼らの元へと迫っていたのだ・・・。 地上にさらなる災厄を撒き散らすために。 ・・・そして、地上において・・・、 いや、 この星の誰の目にも触れない大地の奥底で、 悠久の彼方からただ一つの場所に封じ続けられてきた者・・・、 「彼」だけがその悪意ある存在に気づいていた・・・、 その「全てを見通す眼(まなこ)」にて。 「彼」は幾重にも張り巡らされた結界の中で、 静かに計画を練っていた。 自らの血を受け継ぎし、 「ヒト」という名の人形の糸を操り続けながら・・・。  
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