福田君(あの川を、泳ぎたいのです)

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「ああ。『くそったれ。いてまうぞ!』ね」 「そう、『くそったれ、いてまうぞ!』よ」 「…」 「…なに?」 「やっぱ天野が『くそったれ』っていうのは、ファン悲しむよなぁ…ってさ、特にみもりんとかさ」 「別に『川泳』のセリフだし問題ないと思うけど?」 「うーん」 「そんなことはいいから、先進めましょ?(ボソッ…小さいこと気にしてつまらない男ね)」 「え?なんか言った?」 「言ってないわよ。それでは福田さんご登壇ください」 「あ、どーも」 「福田さん助演男優賞受賞おめでとうございます。福田さんの『くそったれ。いてまうぞ!』がぽぽさんの心にヒットしての受賞となります」 「いやー、なんか小っ恥ずかしいすね。…でも思うんすよ。誰かが助けてくれるなんて甘っちょろい事を平気で思ってる奴、多いんすよね。俺そういうの大嫌いなんすよ、テメェ人生舐めてんのか!?って。それって実はバイトのあの女だけじゃなくて、周りの他の奴らにも言えることで…」 「ありゃ、なんか変なスイッチ入っちゃったね」 「そうね、日頃の鬱憤が溜まってるんじゃない?」 「じゃー、俺から今回の受賞に関して説明するけど、福田さんの『くそったれ。いてまうぞ!』がね、本当に良い味出してる名言なんだよね。ちなみにぽぽあっとさん的にエブ流行語大賞らしいぜ」 「それに本作の福田さんの役は話のトリガーになってて、それが最後のあの迫力に繋がった点が受賞のポイントだったそうです」 「福田さん!ありがとうございました!」 「…いわゆるさ、なんなの?って感じなんだよ。カマトトぶってんじゃねぇよって思うわけなんだけどさ…」 「ありゃ。まだ愚痴続いてる」 「いいんじゃない?言わせておけば」 「…だな。それでは皆さん福田さんに盛大な拍手をお願いします!」 ポポデミー助演男優賞 福田君 『あの川を、泳ぎたいのです』 著:関井薫 おめでとうございます!
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