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「百鬼の若さんは、なんであないにポンコツなんや。」
悠真の足元に追いついたコマが、ひとり言のように言う。
「そうじゃないよ。」
「付喪神も分からへんのにか?」
歩く悠真とコマを、道端の街灯が静かに照らす。
「本当に駄目な人なら、あのタヌキを家に入れたりしないよ。害が無いって分かってるから、家に招き入れたんだ。本人に自覚は無いみたいだけど。」
淡々と話す悠真をコマは見上げた。
「ほな、あの化け猫がポンコツなんか。」
鼻息荒くそう言うコマを、悠真は笑う。
「夜魅は、言うなれば百鬼の若様の新しい教育係なんじゃないかな。彼がポンコツじゃないのは、コマもよく知ってるだろ。」
「新しい?」
フンッと鼻を鳴らしたコマが、何か引っかかったように聞き返す。
「僕と柊平さんとは、見えるものはそんなに大差無いはずだ。でも、彼はあまりに知らな過ぎる。きっと夜魅と行動する前は、妖怪を避けるよう教えられてたんじゃないかな。」
「悠真と逆やな。」
コマは感情の見えない声で言う。
「そうだね。」
悠真は少し笑って、静かに答えた。
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