【絶対なる】一夜【支配9】

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「いただきます……」 そう小さく言って、グラスに口を近付ける私に若槻総支配人の視線が向けられているのを感じてしまう。 そんなに見つめられたら、緊張してしまう。 視線に気づかないふりをして、ジン・ライムの味に集中する。 爽やかな―… 「……っ」 あ。 今、どうしてか制服姿の頼くんが見えた。 夜空に打ち上げられた花火のようにパッと輝いて見えて、消えてしまったけれども。 「口に合わない?」 「えっ……まさか……!こんなに美味しいジンライム、いまだかつて飲んだことないっ!」 「お褒めの言葉をどうも。絶賛されすぎて逆に素直に受け止めきれない感想だけど」 「お世辞じゃなく、本当に美味しいですっ!ただ―…」 「ただ?」 ただ、 どうしてか、アルコールがまわっていくと同時に、胸がきゅーっと甘く、切なく、締め付けられる。 「やっぱり、希穂様の口には合わずか……」 「だから、本当の本当に美味しいですってば!素直に受け止めて下さい!」 「……そっちもな」 「え?」 「別に。よく吠えられるなと思って」 「こちらとしても別に吠えてません……!」
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