643人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「希穂、俺だってね、緊張してる」
「うそ……」
頼くんの口から緊張だなんて言葉が出るなんて信じられない。
きっと、不自然なくらいに固まってしまった私の心と身体を解す為にかけてくれた言葉なんだろうって思った。
そしてまた、
「希穂―…」
「ん……」
唇と唇で触れた後、
「俺の緊張、伝わった?」
そう言って、私を見つめてくれる。
頼くんが緊張しているかどうかはわからない。
けど、また一つ、一つと重ねてくれるキスから優しさと温もりは伝わる。
〝大丈夫だよ”
そう優しく、ゆっくりと、私を導いてくれる。
帯を解いて、浴衣に似合う様にアップにした髪の毛を解いて、
柔らかなマットの上に優しく私の身体を沈めて、
キスよりも先の愛の確かめ方を教えてくれる。
「あっ……」
私の知らない、〝私”を知った、十七歳の真夏の夜―…
最初のコメントを投稿しよう!