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さっき二人で見上げた夜空みたいに、心の中に色とりどりの花火が打ちあがるような―…
火照り。
暑くて、
熱くて。
本当に熱い―…
〝あつい……?”
い、いやいや。
何だか、むしろ、
「さ、寒……!!」
ブルッと大きく身体が震えた。
え?って思う。
火照るような感覚を身体中で感じていたと思っていたのに、今はとても寒くて寒くて仕方ない。
「ほら、言っただろう」
そんな声がして、ハッと顔を上げると、若槻総支配人が私を見ていた。
「よ……若……」
何で若槻総支配人がいるの??
と思ったけれども、そうだ。
タクシーで若槻総支配人をマンションまで送り届けたのだけれども、眠たいから部屋まで連れてけって命令が下されて―…
私、
今、若槻総支配人が住む部屋にいるんだ。
「越してきたばかりで、ろくに家電も家具も揃っていないし、寝具も俺だけの分しかないが、流石にお前をソファーや冷たい床で寝させる真似は出来ない。だから俺様の寝室を使えと親切心で言ってやっているというのに頑なに拒むから寒くもなる」
「だ、だって……」
その間抜けな顔は、どうせさっきまでのやり取りもよく覚えていないんだろうから説明してやる的な言葉で、
そ、そういえば……
と、思い出した。
部屋に入ってしまって、どうにか距離を取ろうと隅っこに座り込んでいたら、
〝エアコンもまだ届いていなくて寒いから、俺の寝室を使わせてやる”
って、言われて、
〝今日はこのテリトリーで私は一夜を過ごしますので、お構いなく”
って、お断りして、本当は眠りたくなかったけど、そのまま転寝しちゃったんだ……
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