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それに、バスルームを使えって言われたって、扉や壁やらで隔てられているとしても、若槻総支配人の城(居住地)で裸になるなんて……
向こうは親切心で言ってくれているんだろうけど、こっちはまたまた変に意識しちゃう……!
「お風呂は……大丈夫です……」
「いいから使えって」
「大丈夫です!っていうか、やっぱり今から帰ります!帰って我が家でゆっくりバスタイムにしますので帰ります!」
鞄を慌てて持って、若槻総支配人宅から深夜の脱出を試みようとする。
けれども、
「待てよ」
「見送りは結構ですからっ!」
「だから待てって」
「っ」
すぐ捕獲されてしまう。
若槻総支配人の手によって。
「離して―…っ……」
「やだ。そんな希穂からの命令を俺が素直に聞くと思う?」
「命令なんて……私はそんなつもり……」
ただ、
解放してほしいだけ。
本当に今度こそは。
もう就業時間はとっくに過ぎている。ここは勤務先のホテルじゃない。
あなたの部屋だから。
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